固定残業代と最低賃金

人が活きる仕組み 労務管理

福岡市早良区社労士野田清敬です。

人事労務担当者の皆様お疲れさまです。

今回は固定残業代について解説いたします。

固定残業代を設定している会社は多いと思います。
それ自体に違法性はありません。
しかし運用を間違えると危険です。

間違った運用として多いのは、固定残業代が何時間分の残業代なのかを明らかにしないで運用している場合です。
あるいは、固定で払っているから残業時間はいちいち計算しないというような運用をしている場合です。

賃金は働いた時間に応じて支払わなければなりません。
固定残業代を支払っているからといって時間計算をしないで済ませることはできません。

たとえば、固定残業代として一時間分の賃金を支払っているとします。
これで残業時間が一時間を超えることがまったくなかったのなら問題ありません。
しかし、一時間を一分でも超えることがあったならそれに対して賃金を払わないでは済まされません。
「一時間未満の残業でも固定残業代として一時間分支払っているから、たまに一時間を超える残業があっても一時間分しか払わない」というのは通用しないのです。
未払いの賃金が発生することになります。

また、最低賃金法にも触れる場合があります。

最低賃金900円の地域で、時給900円で所定労働時間8時間、固定残業代900円として、
実際には2時間の残業をさせていたとします。
この場合なら、実質は9時間分8,100円で10時間働かせてことになるので時給810円で最低賃金を割り込みます。(いうまでもなく、割増賃金も払っていないことになります。)
労働基準法の賃金の支払いの5原則の一つ「全額払いの原則」に違反し、なおかつ、最低賃金法違反となるので露見すれば悪質とみなされ厳しい措置を受けることになりかねません。

このように、固定残業代という方法は意外と使い勝手が悪く、必ずしも「お得」とは言えない仕組みなのです。
そのことをよく理解して運用する必要があります。

ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。

また次回も読んでください。


わかりやすさを優先して平易な表現で書いております。そのため正確性は充分でないこともあります。
ご了承をお願い申し上げます。

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